ゲームの「何を」評価するのか

人によってゲームの評価軸は異なる。当然ながら。
ストーリーやシステムは当然として、音楽やキャラデザインを重視する人もいる。ゲームのジャンルごとにもそれは異なるし、他の要素とどれだけ調和しているかのバランスもある。
個人的に、そのゲームの何がよかったか、を決定づけるのは、プレイして数年後に思い返してどの要素を一番に思い出すかではないかと思っている。ストーリーがよかったとか、あの瞬間のBGMがよかったとか、キャラの熱演が好きだったとか。
そうしてみると、私がどの要素を重視するか、となると、以下の三要素になる。

  • SE
  • UI
  • エフェクト

 

というか冷静に考えるとこの評価軸って、ものすごくアーケードゲーム的な部分というか、STGを主体的に構成する要素っぽい。ゲーセンはほとんど行ったことがないからアーケードゲームというよりファミコンのレトロゲーなんだけれど。あの時代のゲームはSEとBGMが未分化で、UIとゲーム性もグラフィックとエフェクトも未分化で、それがゲームとしてのひとまとまりさを出していたのだと思う。「ゼビウスのBGMは射撃音と撃破音が差し込まれていて初めて完成する」という人も多いし。それがどんどん整理されて主菜と副菜みたいなメインとサブに分かれていってメインの方が評価されるようになったのになぜか副菜の方だけに執着しているのが私かもしれない。

加点方式か、減点方式か

よく言われがちな指標。
私はゲームに対するストレス耐性がアホほど高い傾向にある(飽きやすくはあるが)。
上記のUI面が悪いゲームには文句を言うが、ゲームバランスがイカれていてもさほど文句を言わない。基本的に加点しまくる。
なのでMHXXの獰猛化とか特殊許可の耐久力も特にどうとも思わずソロでやるし、オストガロアも紅兜も宝纏も黒炎王も嫌いではない。氷海も溶岩島も旧砂漠も許そう。遺跡平原テメーはだめだ。あのゲームで唯一クソモンスだと思っているのはオオナズチぐらいだが、これはデザインが嫌いだからである。過去作で完成していた生態と挙動をダバダバ動く変な生き物にしたから嫌いなのだ。
トライアングルストラテジーも、あれの評価を大きく下げているのはUIがよろしくなさすぎるからである。


そういう観点で、今までプレイした中でよかったゲームを上げていく。

Fate/EXTRA

fate-extra.jp

「コマンドを入力する」それだけで最高に面白いゲームを一本挙げろ、と言われれば絶対にこれ。
fate×電脳空間×デュエル形式という要素を完全に理想のものとして結実させた戦闘UIとSEだと思う。本当に、ただコマンドを選択する、その瞬間だけで楽しい。SEが独特ながらもうるさすぎることもなく、じっくり考えた末の一手の入力も、適当に連打で入れたときも最高に調和している。
取る手が3パターン+αしかない単純さが入力の素直さに直結していて、コマンドをカーソルで選んで入力、ではなくキーを入れつつボタンで即座に決定なのが清々しい。
CCCも決して悪くはないというか正当進化ではある。特にPSP円熟期に出たゲームなので、「歩く場所によって足音が違う」をすごく細かく仕込んでいたのにびっくりした覚えがある。ただゲーム全体の方向性というか、EXTRAが海(進むたびに深くなる)という統一感があったのに対して、CCCはキャラの心象風景なのでそういうサイバーな統一感が失われてしまったのを惜しみつつプレイしていた。
勘違いしないでほしいが、EXTRAの戦闘システムが優れているとは言わない(これもCCCはともかく)。あのバトル形式は雑魚戦でやるには冗長すぎるし、そもそもダンジョンに入る機会が限られているのに一回のミスが死に繋がるし死んでら全部戻されてそのうえボス戦に向けてガッツリ稼ぐのを要求されるのはどうかと思う。ただ、その稼ぎとか、冗長さを含めてあのコマンド入力の素晴らしさが印象に残ったんだと思う。

余談
1の統一感に対して2で雑多な雰囲気になってしまう、というパターンだとアバタールチューナーも同じで、あれも雰囲気で言うと1のほうが好き。

In Other Waters

store.steampowered.com

比較的最近プレイしたけど、作者が「このゲームはUIがいいよ」って言ってたゲーム(記事)で、事実結構よかったやつ。
基本文章を読むゲームというか、ページの並びを読む側の気分で少しだけ変えられるというか、インタラクティブというか、ちょっと豪華な飛び出る絵本というか。ちょっとしたリソース管理の要素はあるけど、さほどシビアではないのであまり考えなくともよい。
「グラフィックとUIが未分化」なゲームで、「挿絵」の部分を除けばまずシンプルなアイコンとエフェクトのみで表示されている。それをひたすらぽちぽちして未知の海へと潜る。
海なので流れの速いところに差し掛かると音がごうごう鳴ったり、有毒領域に踏み込むとアラートがぎゅんぎゅん鳴り出す。期待した通りの演出が一通り実装されている。
手放しで褒めるかというとちょっと微妙で、拡大縮小とか進路決定のときに中途半端にアナログなのが雰囲気を損ねている部分はある。キーショートカットが多くても面白かったかもしれない。全部パッドでやるSwitch版はまた別の感想がありそう。
ただ、翻訳の質がものすごくよくて、これが確実に世界への没入度を増してくれている。読むゲームにおいて最も重要な部分が全く置き去りにされていない。そういう面で、プレイしているときの安心感というか、世界観の美しさを損なわないでいてくれるのがいい。

Hellsinker.

store.steampowered.com

やはり欠かせない一作。STGにおける音と演出の融合の極致。
情報過多の極みで一見様お断りだしそもそもメニューの操作すら不明である。屠針丸の配置切り替えと神楽の装備切り替えに自分で気づいた人はえらい。
単にクリアするだけならば、画面右側の表示は一切見る必要すらない。クリアにほぼ関係しないスコア要素しか書いていないからだ。しかし、あると美しい。
かつての最終版が2007年、そこからDL版発売が2019年と時期が開いたにもかかわらずその間に追加された要素が浮いていないのも特筆すべきポイント。チュートリアルの追加、いくつかの要素を可視化・補助する追加UIがもともと存在していた要素と完全に調和している。