トライアングルストラテジーを一周した

ので感想。

ひたすらフレデリカの言うことを聞いた。

 

アーマードコアを期待してデモンエクスマキナをプレイした」ときとかなり近い感覚を味わっている。

つまり、これはこれで悪いわけじゃないが、どうしても悪い部分を比較してしまう。

今回は「FFTを期待してトライアングルストラテジーをプレイした」のである。

 

・ストーリーとキャラと世界観

戦記物として見ると世界観の掘り下げがない。キャラものとして見るとキャラの掘り下げがない。

最後までやって結局よくわかんなかったのはノゼリアのサイズ感で、四国ぐらいのサイズあるかと思ってたらもしかして香川以下のサイズなんじゃないかこれ。そもそも戦記物として見ると行軍に何日かかってどれくらいの距離とか何々に何日かかったって描写がほとんどなくて、実はダイの大冒険並みの圧縮スケジュールとこじんまりした世界で事態が進行しているのだろうか。

そう思ったのは「プレイアブルじゃない」キャラの少なさで、エスフロスト軍めっちゃ層が薄いうえにその半分くらい結局身内軍閥じゃねえかとか王党派貴族何人いるんだよっていう話になってしまう。FFTのお前どこの誰だよ!?っていうのはやりすぎにしてももうちょっと脇を固めるネームドは必要なのでは。というかサブキャラを挿話で全部処理してるせいで薄く見える。そうなると根本的にノゼリアめっちゃ小さいのでもともと大して人間いない説が通りそう。ハイサンド寄りの分岐ばっかやってたのもあってさほどハイサンドの薄さは感じないんだけどな...。要人そこそこいるしソルスレイの部下も名前付きだったり名前ないとはいえ警備部の部下がいるのも七聖人はそれぞれ駐屯地と武力を保持してるっぽい背景を読み解きやすいし。医法院の秘密主義も描写されてるしそれがサブキャラの離反原因にもなってるから逆に言えば彼らはもともと全員ハイサンドの人間だし。

城下以外にウォルホート領民がどんくらいいるのかとかテリオール死んだあと領地どうなったかの情報が大してないのもなんとも言えない。

塩鉄とは言いつつ「塩と鉄の価値はまったく等価ではない」のは好きな組み立て方(生存に必須の食料とちょっと質と量のいい鉱産資源が釣り合わないのは誰にでもわかる)。なので、ロランは本編始まる前にはむしろエスフロスト寄りだったのもわかる。鉄を作るにはその他資源も多数必要だし、エスフロストはグリンブルクからの分家的立場であるとかハイサンドとグリンブルクは宗教解釈でも対立してるとかそのあたりの筋道の組み立て方は綺麗。塩に余裕があるのでハイサンドだけ実験に使いたい放題で科学力が突出してるのもよくできてる。

たまたま発破技術を開発できたドラガンが次のブレイクスルーを発見したので暗殺しておいてグリンブルクのせいだぞと言い始めるのは実に権謀術数渦巻き始めた感じがしていたのだけど、そのあとは思いの外王道的というか雑いというか。実質一点ものとはいえ指輪がついてただけでロラン本人と信じるグスタドルフ…そしてそれを伝え聞いたからにはグリンブルクとエスフロストの両面の欺瞞だと疑うべきなのに信じるハイサンド...。閉鎖的な世界なので王族の威光が強い(王族の証を捨てるとは思わない)のはわからんではないが、でも信じすぎだろう。

フレデリカルートエピローグの混迷の時代になってめっちゃ戦争しました、の雰囲気の部分こそが求めていたもののような気がしてならない。特にグスタドルフがルーフーとベネディクト従えてるところとか。

キャラクターについては全体的に掘り下げられないというより、関係性の構築がされていない。セレノアとフレデリカがお互いにどう思ってるかとか、キャラとキャラ同士の絡みが少ない。

ベネディクトが過去に生きてるとは言われたけど新しい関係を構築してるのが見えないので登場人物全員そう見えるんだよな...。そういう意味では状況への対応を強制されてるとは言えロランはさほど嫌いではないし、コーデリアも人気出るよなそりゃ。加入してないけど。

ロランは主張がふらふらしてる扱いされそうだけど、割と嫌いじゃない。塩湖のローゼル族見ておいて従属ルートなのかよ!とは言われそうだけど、逆に見てない人間がローゼルスケープゴートにする選択を取るほうが傲慢だろう。フレデリカルートやったからでもあるけど、むしろ選択を否定されて上にセレノアが自領民まで切り捨てる選択をしたせいで、そこでセレノアと対等な立場になれててよかったと思う。塩湖のカンセルとの戦闘前会話とか最後のエルフリックのところとか、あそこらへんで急にキャラ描写が濃くなった。そう考えると、最初から最後までみんなポジショントークしかしてないというか、立場からの発言をせざるを得なかったのか。

あともっと議論戦闘盛って欲しかったなあ。家畜に神はいない!レベルはともかく。一番好きなのはローゼルの村守るときのセレノアとテリオールの会話で、あそこはセレノアの後悔とかいろんなものが織り交ざった名演だと思う。

アンナとかに最初の分岐でハイサンド見たい、って推したら私も楽しみになってきました、って言ってくれたりするのは好き。

分岐と挿話加入キャラが必須加入キャラとしか絡まないのもどうかと思う。フラグ管理するの面倒なんだろうなって。おかげでエラドールの出演率が半端じゃないことになっている。

あとマクスウェルがサブイベで加入するのマジでビビったんだよね...。というかローゼルにお世話になってました設定ならそれこそローゼルの村守るとき救援に駆け付けましたでいいものを。一回目がジェロムで槍キャラだったのを二回目も槍キャラで対応できていい感じのエモさが出そうだったのに。

 

・UI

あのさあ!ページ送りくらいつけようよ!20年前のゲームじゃねえんだからさ!

手記とかの情報画面で文書のほうのページを左右キーで操作するからそこのキーは使えないのはわかる。じゃあLB/RBとかトリガーとかあるじゃん。右スティックでページ送りするゲームもあるよね。そもそも戦闘中アイテム画面だとX/Yでページ送りさせてますよね? ここに限らず、なんとしても横についてるボタンを操作に使わせないという意志を感じる。なんで?

あとアイテム購入のとき左右を少し入力するだけで雑に10ずつ増やすのもやばい。ストレスフル。なんで十の桁単位の増減キーとか作らなかったんですか?

戦闘中UIはさほど違和感はなかった。コマンドを選んだ時に最大ダメージが出る相手にフォーカスしてくれるのもいい。コマンド選択からキャンセル押した後確定押すと待機確定になるのはたまにミスったけど。

でも出撃配置で空きパネルを選択状態にできないのはどうなの...。空きパネルを選ぶと選択状態になって他と配置を入れ替えられるのが大体のSLGだと思うけどなんでユニット一覧を開く方にしたんだ。

切札ポイントはコマンド選択時に表示してくれてた方が使い忘れなくていいんじゃないかな。多分半分くらいのマップでああ使ってねえわって終わり際に気付いた。

スパロボみたいにリセでトライアンドエラーしたい派は選択階層がやや深いのがめんどいかもしれない。やらなかったけど。ここに限らずウィンドウの表示と遷移がちょっとまったりしているとは感じる。

あとイベント回想もないんだね...

 

・システム

戦闘バランスは取れていないようで取れている。おそらく開発の想定と違う方向で結果的にバランスが取れている可能性がある。

初見ハードでやったからというのもあるが、基本的に敵が1ユニット単位でこちらより強くかつ数が多いのは結構好き。その上でガン待ちを抑止するシステムをあえて搭載されていない(ガン待ち拒否のマップもあるがそれなりに抜け道もある)のは昨今のSRPGらしいんじゃないだろうか。やりたい人は早解きしてねという。あとノックバックとか毒とか炎上とか、「戦闘の副次的に発生するダメージ」が割合ダメージなのがすごくいい。これがあるから一見めちゃくちゃタフなボスもそれなりに狩れる。

物理盾役が低すぎる魔防のせいでまったく盾してないのが致命的で、ぶっちゃけ物防と魔防のバランスがまともなセレノア・アンナ・マクスウェルあたりの生存性が一番高い。高HP+高物防+低魔防+前衛と低HP+低物防+高魔防+後衛のキャラを比較すると生存性はほとんど変わらないレベル。なんなら最大HPが低い分立て直しが楽な後者の方が生かしやすいまである。無敵でとりあえず一回キャンセルが効いたりメディナが猛威を振るう終盤はなおさら。

結局この手のゲームにありがちな「やられる前にやる(倒すか無力化する)」のが強すぎて、敵の攻撃を耐える+ヘイトを取るの考えが全然強くない。エラドールが強い部分の核はむしろ体当たりなのであって、ノックバックを狙って隙間ができて挟撃されても最低限耐えられる(魔法が飛んでこなければ)という立ち回りをしやすいだけと言える。フラナガンもすし詰めガン待ち布陣でも高低差無視と着地点周囲攻撃のおかげで小回りが利きやすいという点での強さでしかない。

せめて能動的に敵のTPを減らす手段があればまだ...これができるのはせいぜいピコレッタのデコイかヒューエットの足止めによるそもそも魔法のレンジに入れないという選択肢しかない。というかメディナに回復時TP回復を乗せるならピコレッタにも攻撃アイテムでTP減少を乗せればよかったのに。敵のほうが多くてこっちはダブルアイテムもない以上バランス取れてるだろうし。

そして耐え続ける戦法が強くない以上、バフが弱い。平たく言うとベネディクトが弱い。効果量か範囲か持続ターンのどれかに秀でていたならばギリギリ使えるのラインで、現状使えない。あるいはHP回復効果が付いてるとかならヒーラーがジーラ一択状態をある程度抑止できたのに。出費をある程度無視するなら手の空いたタイミングで全キャラ自分と隣接にアイテムでバフが乗せられるし、自己バフ系も同様。ユリオはTP供給とバフが同時に出せる上に殴りに行けるわけで、ベネディクトも殴りが普通に強い性能ならまずまず使ったと思う。

あと敵性能の高さをAIのアホさでバランスを取っている節がある。この「頭の悪い」が直線で突っ込んでくるからとか魔法撃つより1ターンTP節約したほうがもっと巻き込めるのにとかそういうスタンダードなアホさではなくて、あからさまに手抜きされているっぽいのが印象が悪い。ガン待ちが強い理由の一つが思いっきり敵布陣から距離を取るとなぜか数ユニット迷走し始めること。あとTPに余裕があっても強スキルを使ってこないこと。テリオールの長距離挑発とかライラの時間停止とか毎ターン最大効率で撃たれるだけでゲームが崩壊するのだけど、どんだけ後に回しても二回は絶対に使ってこないないので内部的に使用回数か激長クールタイムが設定されているらしい。味方になる可能性のあるユニットを抑制するのはともかく、敵限定ユニットはんなことするぐらいならハナから強化するな。

カスタマイズ性という言葉を切り捨てたシステム自体は特にどうとも思わない感じ。後戻りできなくてあーあと思うのはクラスアップとか武器クラスアップぐらいで、それも多少の順序の差だし。レベルもサクサク上がるから編成の段階で悩むけどそれ以前のカスタマイズの部分で悩まないのはやってて楽ではある。そこまでやるなら最初からクラスアップ先のスキルとか強化内容を開示しててもいいんじゃないかなと思ったけど。

ただ実質レベルキャップがあるのはうーん...。二回行動持ってるキャラが強くなりすぎるのはわかるが、なければ常にバフ撒いてるおかげでベネディクトも壁として強くなれた気はする。

とはいえ、全体的に育成の幅がない分編成で工夫しろ、というバランスは概ね取れているようには感じる。挿話でサブイベ戦闘してもいいんじゃないかなとは思ったが。

 

RPGとか天秤システムはさほど。一回も思った以外のところに傾くことはなかった。みんなセレノアの意見聞きすぎ感というか、議場にぽつぽつ座らせるよりはもっと固めておいて議論してる風に置いておけばよかったのに。

ただこれ、好きなキャラと同じところに行こうとする(賛成)だと、そもそも意見言う必要なくて会話量減っちゃうのはなんか微妙だよなあ。

 

BGMあんまり意識しなかったけど音量絞ってるからかも。デフォのVoice・SE・BGMが全部均等な場合BGMを目立たせないような調整になってる気がする。

 

総評

なんだかんだ言ったけど何週かすると思う。定価で買ったらもっと文句を言ってたかもしれない。

結局使用キャラ偏りそうだけどバトルシステム自体はシンプルかつ楽しいので、一日一戦ぐらいのペースでやるとか、そんな感じ。